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東京地方裁判所 昭和47年(ワ)41号 判決

原告

千田洋子

ほか九名

被告

富田勇雄

ほか一名

主文

1  被告富田勇雄は、原告千田洋子、同千田俊一に対し各九六万四、〇七二円、原告千田徳子に対し二二九万四、〇七二円、原告柳原由美、同柳原小百合に対し各二三七万二、八八三円、原告柳原政枝に対し四一二万二、八八三円、原告二橋に対し一二四万六、二五八円、原告高橋に対し二〇〇万六、四七五円、原告南後に対し二五万三、五〇二円、原告奈良原に対し五五一万三、九四八円及び原告千田洋子、同千田俊一、同柳原由美、同柳原小百合につき前記各金員、原告千田徳子につきうち一九一万四、〇七二円、原告柳原政枝につきうち三三二万二、八八三円、原告二橋につきうち一一三万六、二五八円、原告高橋につきうち一八二万六、四七五円、原告南後につきうち二三万〇、五〇二円、原告奈良原につきうち五〇一万三、九四八円に対する昭和四七年一月二二日以降各支払済みに至るまで年五分の割合による金員を支払え。

2  被告美宝金属工業株式会社は、原告千田洋子、同千田俊一に対し各九六万四、〇七二円、原告徳子に対し二二九万四、〇七二円、原告柳原由美、同柳原小百合に対し各二二一万九、一四五円、原告柳原政枝に対し三六五万四、一四五円、原告二橋に対し八一万四、九五七円、原告高橋に対し一〇〇万三、五二六円、原告南後に対し二五万三、五〇二円及び原告千田洋子、同千田俊一、同柳原由美、同柳原小百合につき前記各金員、原告千田徳子につきうち一九一万四、〇七二円、原告柳原政枝につきうち二九一万九、一四五円、原告二橋につきうち七四万〇、九五七円、原告高橋につきうち九一万二、五二六円、原告南後につきうち二三万〇、五〇二円に対する昭和四七年一月二二日以降各支払済みに至るまで年五分の割合による金員を支払え。

3  原告らの被告美宝金属工業株式会社に対するその余の請求を棄却する。

4  訴訟費用のうち、〈1〉原告奈良原に生じた分全部、その余の原告らに生じた分の各二分の一を被告富田の負担とし、〈2〉原告二橋に生じた分の三分の一、同高橋に生じた分の四分の一、その余の原告ら(奈良原を除く)に生じた分の各二分の一を被告美宝金属工業株式会社の負担とし、〈3〉同被告補助参加人に生じた分の一〇〇分の一ずつを原告由美、同小百合、同一〇〇分の三ずつを原告政枝、同二橋、同一〇〇分の六を原告高橋の各負担とし、〈4〉その余を各自負担とする。

5  この判決は第1、第2項及び第4項〈1〉〈2〉は仮執行することができる。

事実

第一当事者の求める裁判

一  原告ら

(一)  被告らは各自、原告千田洋子、同千田俊一に対し各九六万四、〇七二円、原告千田徳子に対し二二九万四、〇七二円、原告柳原由美、同柳原小百合に対し各二三七万二、八八三円、原告柳原政枝に対し四一二万二、八八三円、原告二橋に対し一二四万六、二五八円、原告高橋に対し二〇〇万六、四七五円、原告南後に対し二五万三、五〇二円及び原告千田洋子、同千田俊一、同柳原由美、同柳原小百合につき前記各金員、原告千田徳子につきうち一九一万四、〇七二円、原告柳原政枝につきうち三三二万二、八八三円、原告二橋につきうち一一三万六、二五八円、原告高橋につきうち一八二万六、四七五円、原告南後につきうち二三万〇、五〇二円に対する昭和四七年一月二二日以降各支払済みに至るまで年五分の割合による金員を支払え。

(二)  被告富田勇雄は原告奈良原に対し五五一万三、九四八円およびうち五〇一万三、九四八円に対する昭和四七年一月二二日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

(三)  訴訟費用は被告らの負担とする。

との判決ならびに仮執行の宣言。

二  被告美宝金属工業株式会社補助参加人(以下補助参加人という)

(一)  原告らの請求をいずれも棄却する。

(二)  訴訟費用は原告らの負担とする。

との判決。

第二原告らの請求原因

一  事故

(一)  発生時 昭和四六年二月三日午前八時四五分頃

(二)  発生地 千葉県松戸市胡録台三四五番地先交差点(以下本件交差点という)

(三)  事故車1 普通貨物自動車(習志野一一す二一六号)被告富田運転(以下甲車という)

(四)  事故車2 普通乗用自動車(足立五ふ八四八五号)奈良原文雄運転(以下乙車という。)

同乗者 千田悟、柳原定司郎、原告二橋、同高橋、同南後

(五)  態様 直進走行中の乙車とこれに対向して進行してきて右折しようとした甲車とが衝突

二  事故の結果

(一)  千田悟、柳原定司郎、奈良原文雄が同日死亡した。

(二)  原告二橋は、本件事故により、頭部打撲、顔面打撲、右上腕・左前腕打撲及び骨折等の傷害を受け、昭和四六年二月三日から同年五月三一日まで入院、その後同年一一月一一日まで通院、同月一二日から同月二〇日まで再入院、同月二一日から同月二六日まで通院加療した。

同原告は、現在もなお、右顔面眼下部に醜状痕(後遺障害等級表一四級)、右眼に左右上下視にて複視を生ずる(同一四級)の各後遺症が残存し、日々精神的肉体的苦痛を蒙つており、特に右複視の後遺症については、貴金属細工の仕事の性質上非常な不便を痛感している。

(三)  原告髙橋は、本件事故により第四頸椎椎体骨折、顎髄損傷、左橈骨骨折、全身打撲及び挫創等の傷害を受け、昭和四六年二月三日から同年四月一〇日まで入院、同月一一日から同年一一月一四日までに通院加療した。

同原告は、右傷害により、現在もなお、左右頸部痛、左前胸部圧痛、左拇指MP関節痛、右膝関節部最終屈曲可動性一八〇度ないし六〇度までで有痛性(同一四級九号)、右膝蓋骨部前面に五センチメートル×四センチメートル(手掌大)の瘢痕(同一四級四号)の後遺症が残存している。

(四)  原告南後は、本件事故により、顔面・下顎打撲擦過傷脳震盪症・左側頭頭蓋骨折・下顎骨正中左側切歯門歯間骨折・右下顎枝下顎角に及ぶ骨折、右第六、七、八肋骨骨折、右肘部打撲・皮下血腫の傷害を受け、昭和四六年二月三日から同年四月一五日まで入院加療した。

三  責任原因

(一)  被告富田は、甲車を業務の用に使用し、自己のため運行の用に供していたものであるから、自賠法三条により原告らの蒙つた損害を賠償する義務がある。

(二)  被告美宝金属工業株式会社(以下被告美宝という)は、乙車を保有し、自己のため運行の用に供していたものであるから、自賠法三条により、原告らの蒙つた損害(奈良原文雄の死亡に基づく原告奈良原の損害を除く)を賠償する義務がある。

四  損害

(亡千田悟の関係分)

(一) 葬儀費 二〇万円

原告徳子は、悟の事故死に伴い、右出捐を余儀なくされた。

(二) 逸失利益一、一六四万二、二一六円

(死亡時) 四九才

(稼働可能年数)一四年

(年収)一四九万一、三〇二円

(控除すべき生活費)二五パーセント

(毎年の純利益)一一一万八、四七六円

(中間利息控除)年五分、ホフマン式年別計算による。

(三) 悟の死亡により、原告洋子(当時一一才)、同俊一(同八才)はいずれも子として、原告徳子は妻として、それぞれ法定相続分に応じ右逸失利益の三分の一ずつにあたる各三八八万〇、七三八円宛を相続した。

(四) 慰藉料

右原告ら三名は、一家の支柱を失い、筆舌に尽し難い精神的苦痛を蒙つており、これを慰藉するには、原告洋子、同俊一に対し各七五万円、原告徳子に対し一五〇万円を各下らない金額をもつてすべきである。

仮に、前記(二)の損害の一部が認められないときは、慰藉料としてその金額を加算したものが認定されるべきである。

(五) 損害の填補

右原告ら三名は、本件事故による損害につき、自賠責保険から一、〇〇〇万円、被告美宝加入の搭乗者保険から一〇〇万円を各受領し、これを右原告ら三名の前記損害に各三六六万六、六六六円宛充当した。

(亡柳原定司郎の関係分)

(一) 葬儀費 二〇万円

原告政枝は、定司郎の事故死に伴い、右出捐を余儀なくされた。

(二) 逸失利益 一、五八六万八、六四七円

(死亡時) 二九才

(稼働可能年数) 三四年

(年収) 一〇八万二、〇九五円

(控除すべき生活費) 二五パーセント

(毎年の純利益) 八一万一、五七一円

(中間利息控除) 前記に同じ

(三) 定司郎の死亡により、

原告由美(当時三才)、同小百合(同一才)はいずれも子として、原告政枝は妻として、それぞれ法定相続分に応じ右逸失利益の三分の一ずつにあたる各五二八万九、五四九円宛を相続した。

(四) 慰藉料

右原告ら三名は、一家の支柱を失い、非常な精神的苦痛を蒙つており、これを慰藉するには、原告由美、同小百合に対し各七五万円、原告政枝に対し一五〇万円を各下らない金額をもつてすべきである。

予備的主張 亡千田悟関係分(四)後段と同旨

(五) 損害の填補

右原告ら三名は、本件事故による損害につき、自賠責保険から一、〇〇〇万円、被告美宝加入の搭乗者保険から一〇〇万円を各受領し、これを右原告ら三名の前記損害に各三六六万六、六六六円宛充当した。

(原告二橋の関係分)

(一) 治療費 二五万八、四四〇円

(二) 付添費 一二万八、四〇〇円

入院中一〇七日間、一日につき一、二〇〇円

(三) 入院雑費 三万八、一〇〇円

入院一二七日、一日三〇〇円の割合による。

(四) 休業損害 一九万五、一七六円

原告二橋は、一日につき二、一八〇円の収入を得ていたが、本件事故に伴い、一四八日間休業を余儀なくされ、一九万五、一七六円の損害を蒙つた(被告美宝から五万七、九〇〇円、社会保険から六万九、五六四円の既受領分を控除)。

(五) 逸失利益 九六万四、八二二円

(事故時) 二六才

(稼働可能年数) 三七年

(年収) 九三万五、五八五円

(労働能力喪失率) 五パーセント

(中間利息控除) 前記に同じ

(六) 慰藉料 一〇五万円

前記傷害の内容・程度、入・通院状況、後遺症の程度からすれば、この精神的苦痛を慰藉するには右金額を相当とする。

(七) 損害の填補

同原告は、本件事故による損害につき、自賠責保険から一二六万一、六八〇円、前記搭乗者保険から二三万七、〇〇〇円を各受領し、これを前記損害に充当した。

(原告高橋の関係分)

(一) 治療費 二七万二、九〇〇円

(二) 付添費 五万六、四〇〇円

入院中四七日間、一日につき一、二〇〇円

(三) 入院雑費 二万〇、一〇〇円

入院六七日、一日三〇〇円の割合による。

(四) 休業損害 六二万四、二二〇円

原告高橋は、一日につき五、二九〇円の収入を得ていたが、本件事故に伴い、一一八日間休業を余儀なくされ、六二万四、二二〇円の損害を蒙つた。

(五) 逸失利益 一四〇万七、七二八円

(事故時) 四一才

(稼働可能年数) 二二年

(年収) 一九三万一、〇四〇円

(労働能力喪失率) 五パーセント

(中間利息控除) 前記に同じ

(六) 慰藉料 八〇万円

前記傷害の内容・程度、入・通院状況、後遺症の程度からすれば、この精神的苦痛を慰藉するには右金額を相当とする。

(七) 損害の填補

同原告は、本件事故による損害につき、自賠責保険から一一六万九、八七三円、前記搭乗者保険から一八万五、〇〇〇円を各受領し、これを前記損害に充当した。

(原告南後の関係分)

(一) 治療費 四二万四、三五〇円

(二) 付添費 二万五、二〇〇円

入院中二一日間一日につき一、二〇〇円

(三) 入院雑費 二万一、六〇〇円

入院七二日、一日三〇〇円の割合による。

(四) 休業損害 一五万六、三〇六円

原告南後は、一日につき二、〇〇三円の収入を得ていたが、本件事故に伴い、一〇二日間休業を余儀なくされ、一五万六、三〇六円の損害を蒙つた(被告美宝からの四万八、〇〇〇円の既受預分を控除。)

(五) 慰藉料 三〇万円

前記傷害の内容・程度・入院状況からすれば、この精神的苦痛を慰藉するには右金額を相当とする。

(六) 損害の填補

同原告は、本件事故による損害につき、自賠責保険から六二万四、九五四円、前記搭乗者保険から七万二、〇〇〇円を各受領し、これを前記損害に充当した。

(亡奈良原文雄の関係分)

(一) 葬儀費 二〇万円

亡奈良原吉雄(父)および原告奈良原(母)は、文雄の事故死に伴い、右金員の負担を余儀なくされた。

(二) 逸失利益 八八一万三、九四八円

(死亡時) 二〇才

(稼働可能年数) 四三年

(年収) 六四万九、六八〇円

(控除すべき生活費) 四〇パーセント

(毎年の純利益) 三八万九、八〇八円

(中間利息控除) 前記に同じ

(三) 慰藉料

右原告および吉雄は、苦労して養育し、漸く成人に達したばかりの文雄の死亡により非常な精神的苦痛を蒙り、かねて病気療養中であつた吉雄はそのシヨツクで間もなくして死亡するに至つた。この精神的苦痛を慰藉するには、右原告および吉雄に対し各一〇〇万円が相当である。

(四) 文雄の死亡により、奈良原吉雄および原告奈良原は、その父母として、法定相続分に応じ右逸失利益の二分の一ずつを相続取得した。さらに、右吉雄が昭和四六年四月二八日死亡し、その相続人間で遺産分割について協議した結果、同人の被告富田に対する損害賠償請求権は右原告が相続することとなつた。

(五) 損害の填補

右原告は、本件事故による損害につき、自賠責保険から五〇〇万円、前記搭乗者保険から一〇〇万円を各受領し、これを前記損害に充当した。

(弁護士費用)

原告らは、被告らが任意の弁済に応じないので、弁護士である原告ら訴訟代理人に訴訟の提起追行を委任し、その所属する第二東京弁護士会所定の報酬規定に従い、各訴額の一〇パーセントを(但し、原告洋子、同俊一の分は原告徳子において、原告由美、同小百合の分は原告政枝において)第一審終結後に支払うことを約したので、原告徳子は三八万円、同政枝は八〇万円、同二橋は一一万円、同高橋は一八万円、同南後は二万三、〇〇〇円、同奈良原は五〇万円の各損害を受けた。

五  よつて、原告らは、被告各自に対し(但し、原告奈良原は被告富田に対してのみ)前記各損害額(既に填補を受けた分を除く)及びうち弁護士費用を除くその余の金員に対する本件訴状送達の日の翌日である昭和四七年一月二二日以降支払済みに至るまで民法所定年五分の創合による遅延損害金の支払を求める。

第三被告ら

被告らはいずれも公示送達によらない適式の呼出を受けながら、口頭弁論期日に出頭せず、答弁書その他の準備書面を提出しない。

第四補助参加人の主張

(答弁)

一  請求原因一、二(一)、三(二)の各事実及び同二(二)ないし(四)の事実のうち、該原告らが何らかの傷害を受けたことは認め、その余の事実は争う。

二  同四の事実、千田悟、柳原定司郎の関係につき、両名の死亡時の年令、身分および相続関係、当時の当該原告らの年令ならびに損害填補の事実は認め、その余の事実は争う。

三  同四の事実、原告二橋、同高橋関係につき、右各原告の事故時の年令および損害の填補事実は認め、その余の事実は争う。

原告高橋の収入については、同原告の妻の労働が相当程度寄与しているから、これを控除すべきである。

四  同四の事実、原告南後関係につき、損害填補の事実は認め、その余の事実は争う。

(抗弁、反論)

五  損害の填補

(一) 千田悟および柳原定司郎関係の葬儀については、被告美宝がこれを直接負担して葬儀を行なつており、この限りにおいて既に填補済みである。

(二) 同被告は、1原告二橋に対し治療費のうち二五万六、二四〇円のほか二六万二、〇〇〇円を、2原告高橋に対し治療費のうち二四万九、六四〇円のほか四万円、3原告南後に対し治療費全額のほか四万円を各支払い、右原告らの損害は右範囲で填補済みである。

六  好意同乗者減額

(一) 本件事故による被害者らは原告高橋を除き、いずれも被告美宝の従業員であり、原告高橋も同被害の下請けという関係にあつたところ

同被告では昭和四五年五月頃から毎月一回従業員のほぼ全員が参加してボーリング大会を実施し、その際、取引先関係者にも声をかけており、原告高橋はよく参加していた。

大会の際には同被告が参加者の交通の便をはかるため、その求めに応じしばしば乗用車を貸与していた。

(二) 本件事故当日は、二月のボーリング大会が開かれ、これには従業員全員と下請けの原告高橋が参加し、事故当時、被害者らは右ボーリング大会を終え、乙車に乗つてボーリング場から原告高橋を松戸駅まで送つてから同被告会社に帰る途中であつた。

当時、乙車は奈良原文雄が運転していたものであるが、同車およびそのキーは同被告の専務取締役で工場長である訴外見神誠が保管していたところ、ボーリング大会が行なわれるというので、その参加者の交通の便宜をはかるため、右奈良原にキーを渡して参加者のボーリング場往復のために同車を使用することを許したものであり、右奈良原個人に貸与したものではないし、右奈良原も大会参加者の輸送担当者として皆のために同車のキーを借りたにすぎず、同乗の被害者らも、千田悟や柳原定司郎などは一旦会社へ出勤してから同車に乗つてボーリング場に赴いており、他の同乗者も右奈良原個人が借りたとは見ておらず、同被告が参加者の交通の便宜のために貸したと考えていたものである。

(三) 仮に、右ボーリング大会が同被告主催によるものでないとすれば、右ボーリング大会の性格、参加者に乙車の使用を許した趣旨およびその同乗の経緯、事故当時の運行目的等により、乙車は同乗者を含む右ボーリング大会参加者集団に貸与されたもので、被害者らは同被告とともに乙車の共同運行供用者と同視すべき地位にあつたというべきである。

従つて、原告らの同被告に対する本件損害賠償請求は大幅に減額されるべきである。

第五原告らの反論等

一  補助参加人主張三後段につき

原告高橋の妻は、事故に至るまで家事に専念し、手があいた時に誰でもできることをほんの僅か手伝うに過ぎない程度であつて、同原告の収入には影響がないし、また、同原告の休業中に妻が独立して就業することもあり得ない。

二  同五(一)の事実につき

千田悟、柳原定司郎の葬儀は、被告美宝の費用による社葬もあつたが、該原告らはその他に多大の葬儀費の支出を余儀なくされた。

三  同(二)の事実につき

原告二橋、同高橋、同南後が、補助参加人主張の金員の支払いを受けたことは認める。しかし、そのうち、治療費については、被告美宝が立替払いしていたものであつて、同原告らは各自これを返済した。その余の支払いのうち、原告二橋の受領した二六万二、〇〇〇円、原告高橋、同南後の受領した四万円はいずれも被告美宝が右原告らを被保険者兼受取人として加入した郵政省の傷害特約付簡易保険の入院保険金であり、その余は同被告の右原告らに対する見舞金であつて、以上いずれも本件損害の填補として授受されたものではない。

四  同六の事実について

(一)  被告美宝と被害者らの関係、同被告の従業員が昭和四五年五月頃から毎月一回ボーリング大会を行なつていたこと、原告高橋も参加したことのあることは認めるが、右ボーリング大会は、同被告の住込みの独身従業員が中心になつて、従業員の親睦のためレクリエーシヨンとして勤務時間外に自発的に行なつていたもので参加は自由であり、従業員以外の者で参加したのは原告高橋だけであり、他に声をかけたことはない。

ボーリング大会の際に、従業員らが同被告の自動車をボーリング場までの往復に使用させてもらうことはあつた。

(二)  事故当日に二月のボーリング大会が開かれたこと、大会には被害者らのほかに、数名の従業員も参加したこと、事故当時は右ボーリング大会を終え原告高橋を松戸駅で降し会社に帰る途中であつたこと、奈良原文雄が訴外見神から乙車を借り受けて運転していたことは認めるが、乙車は右奈良原個人で借り受けたものであり、集団で借りたという事実はない。

右ボーリング大会にはよく参加したのもいたが、参加数回だけの者、初めて参加した者もあり、乙車に乗車するに至つた事情もたまたま乗れたので同乗したにすぎなかつた。

(三)  運行供用者というには、単に同乗を計されただけでは足りず、運転ないし運行自体を支配し得る地位につくことが必要であり、交通の便宜のため同乗するというだけでは運行の支配はない。

従つて、被害者らが共同運行供用者というのは不当である。

(四)  ことに、千田悟、柳原定司郎の関係では、原告らの主張する慰藉料の額は控え目で、右事情を考慮に入れても、右主張額以下とはなり得ない。

第五証拠〔略〕

理由

第一被告富田に対する請求

被告富田は、民事訴訟法一四〇条により原告らの請求原因事実を自白したものとみなす。

右の事実によれば、原告らは、同被告に対し、その主張の各金員の支払を求める権利がある。

第二被告美宝に対する請求

一  請求原因一、同二(一)、同三(二)の各事実については、被告美宝は、民事訴訟法一四〇条により自白したものと看做される。

そうすると、被告美宝は自賠法三条により原告らの蒙つた後記損害を賠償する義務がある。

二  〔証拠略〕によれば、請求原因二(二)の事実、なお同後遺症は昭和四六年一一月二六日頃症状固定をみたことが認められる。

〔証拠略〕によれば、請求原因二(三)の事実、なお同後遺症は昭和四六年一一月一四日頃症状固定をみたことが認められる。

〔証拠略〕によれば、請求原因二(四)の事実が認められる。

右各認定に反する証拠はない。

三  損害

(千田悟の関係分)

(一) 葬儀費

〔証拠略〕によれば、千田悟、柳原定司郎、奈良原文雄の葬儀は被告美宝の社葬で合同葬としてなされたこと、右式の費用は右被告が負担したが、その他の費用はすべて遺族等各自負担であつたこと、葬式後の法要も各自で営み出費を余儀なくされたことが認められ、右認定に反する証拠はない。

そうすると、原告徳子は、悟の事故死に伴い、少くとも二〇万円の出捐を余儀なくされたものと推認され、右支出損害額は本件事故と相当因果関係にあるものと認めるのが相当である。

(二) 悟の逸失利益と該原告らの相続分

悟が死亡時四九才であつて、被告美宝の従業員であつたことは当事者間に争いがなく(原告ら主張の事実につき被告美宝において明らかに争わず、補助参加人において認める場合をいう。以下同様)、〔証拠略〕によれば、悟は、事故当時健康で、被告美宝から年額一四九万一、三〇二円の収入を得、これをもつて該原告ら三名(妻徳子、長女洋子〈当時一一才〉、長男俊一〈同八才〉)と同居し、同人らを扶養していたことが認められる。

以上の事実によれば、悟は本件事故にあわなければ、その後六三才に至るまでの一四年間右程度の収入を得、そのうち三割程度をその生活に必要な諸費用として要したものとみるのが相当であり、右各年の逸失利益を遅延損害金の起算日以降本判決言渡前はホフマン方式、その後はライプニツツ方式により年五分の割合による中間利息を控除して昭和四七年一月二一日の現価を計算すると、一、〇五七万二、三九〇円となる。

右悟の逸失利益が子あるいは妻である原告洋子、同俊一、同徳子にそれぞれ三分の一ずつ相続されたことは当事者間に争いがないから、右各原告の取得額は各三五二万四、一三〇円宛となる。

(三) 慰藉料

前記諸事情を考慮し、悟の事故死による右原告ら固有の慰藉料としては、原告ら主張の金額(原告洋子、同俊一につき各一一〇万六、六〇八円、原告徳子につき一八五万六、六〇八円)を下らないものとみるのを相当とする。

(四) 損害の填補

右原告らが本件事故による損害につき、自賠責保険から一、〇〇〇万円、搭乗者保険から一〇〇万円を各受領し、右金員をそれぞれ三六六万六、六六六円ずつ充当したことは当事者間に争いがない。

(柳原定司郎の関係分)

(一) 葬儀費

前記(千田悟関係分)(一)認定のとおりであるから、原告政枝は、定司郎の事故死に伴い、少くとも二〇万円の出捐を余儀なくされたものと推認され、右支出損害額は本件事故と相当因果関係にあるものと認めるのが相当である。

(二) 定司郎の逸失利益と該原告らの相続分

定司郎が死亡時二九才であつて、被告美宝の従業員であつたことは当事者間に争いがなく、〔証拠略〕によれば、定司郎は、事故当時健康で、被告美宝から年額一〇八万二、〇九五円の収入を得、これをもつて該原告ら三名(妻政枝、長女由美〈当時三才〉、次女小百合〈当時一才〉)と同居し、同人らを扶養していたことが認められる。

以上の事実によれば、定司郎は本件事故にあわなければ、その後六三才に至るまでの三四年間右程度の収入を得、そのうち三割程度をその生活に必要な諸費用として要したものとみるのが相当であり、右各年の逸失利益を前記同様の方式、利率により中間利息を控除して昭和四七年一月二一日の現価を計算すると、一、三一五万七、四三三円となる。

右定司郎の逸失利益が子あるいは妻である原告由美、同小百合、同政枝にそれぞれ三分の一ずつ相続されたことは当事者間に争いがないから、右各原告らの取得額は各四三八万五、八一一円宛となる。

(三) 慰藉料

前記諸事情を考慮し、定司郎の事故死による右原告ら固有の慰藉料としては、原告由美、同小百合につき各一五〇万円、同政枝につき二〇〇万円が相当である。

(四) 損害の填補

右原告らが本件事故による損害につき、自賠責保険から一、〇〇〇万円、搭乗者保険から一〇〇万円を各受領したこと、右金員が右原告ら三名にそれぞれ三六六万六、六六六円ずつ充当されたことは当事者間に争いがない。

(原告二橋の関係分)

(一) 治療費 二五万八、四四〇円

〔証拠略〕によれば、原告二橋は、本件受傷による治療費として右金額を下回らない金員の支出を要したこと、右金員を一時被告美宝が立替払していたが、その後清算したことが認められる。補助参加人の一部填補済みであるとの抗弁は採用しない。

(二) 付添費 一二万八、四〇〇円

〔証拠略〕によれば、同原告は、入院中昭和四六年二月三日から同年五月二〇日まで家族の付添看護を受けたことが認められ、右認定に反する証拠はない。前記の同原告の症状に鑑み、右付添看護による損害は、本件事故と相当因果関係にあるものであつて、これは一日当り一、二〇〇円と算定するのが相当である。

(三) 入院諸雑費 三万八、一〇〇円

同原告が一二七日間の入院を余儀なくされたことは前記のとおりである。諸雑費として少くとも一日三〇〇円の割合による金員の支出を要することは経験則上明らかであるから、同原告の前記受傷の程度に鑑み、入院諸雑費として三万八、一〇〇円の支出を要したものと認められる。

(四) 休業損害 一九万五、一七六円

原告二橋が被告美宝の従業員であつたことは当事者間に争いがなく、〔証拠略〕によれば、同原告は、被告美宝から月額六万五、四〇〇円(一日につき二、一八〇円)の収入を得ていたこと、同原告は本件事故に伴い、少くとも一四八日間を下回らない期間の休業を余儀なくされたことが認められるから、その休業損害は三二万二、六四〇円と算定されるところ、同原告が被告美宝から五万七、九〇〇円、社会保険から六万九、五六四円の各支払いを受けたことはその自認するところであるのでこれを控除すると、残額は一九万五、一七六円となる。

(五) 逸失利益 八一万九、五二一円

同原告が事故時二六才であつたことは当事者間に争いがなく、〔証拠略〕によれば、同原告は被告美宝の機械工として年額九三万五、五八五円の収入を得ていたことが認められる。

同原告の前記二の事実から明らかなとおり、同原告は右(四)のとおり休業を余儀なくされた期間のほか、事故による傷害の後遺症状のため労働収益能力が減少しているものと認められ、その程度は、同原告の職種、年令、後遺症状からみて、六三才に至る全労働期間を通じて考えると、五パーセントとみるのが相当である。

そうすると、同原告の右年収を基礎として昭和四七年一月二一日時の現価を、前記同様の方式利率による中間利息を控除して計算すると、八一万九、五二一円となる。

(六) 慰藉料 八〇万円

前記認定の本件事故の態様、傷害の部位程度、入・通院期間、後遺障害の部位程度等諸般の事情を考慮すると、同原告が本件事故により蒙つた精神的損害は、右金員をもつて慰藉されるべきが相当と認める。

(七) 損害の填補

同原告が本件事故による損害につき自賠責保険から一二六万一、六八〇円、搭乗者保険から二三万七、〇〇〇円を各受領したこと、右金員が前記損害に充当されたことは当事者間に争いがないから、これは本件損害に充当されるべきである。ところで、同原告が右の他、二六万二、〇〇〇円を受領していることは当事者間に争いがないが、それがいかなる性質のものであるかを認めるに足りる証拠はないから、それが本件損害に充当すべきものとは、未だ認められない(それが、原告主張のようなものであれば、特段の事情の立証のない限り、保険料の対価なのであつて、損害填補とならない。)。

(原告高橋の関係分)

(一) 治療費 二七万二、九〇〇円

〔証拠略〕によれば、原告高橋は、本件受傷による治療費として右金員支出を要したこと、右金員を一時被告美宝が立替払していたがその後精算したことが認められる。補助参加人の一部填補済みの抗弁は採用しない。

(二) 付添費 五万六、四〇〇円

〔証拠略〕によれば、同原告は入院中昭和四六年二月三日から同年三月二一日までの間、妻の付添看護を受けたことが認められ、右認定に反する証拠はない。前記の同原告の症状に鑑み、右付添看護による損害は本件事故と相当因果関係にあるものであつて、これは一日当り一二〇〇円と算定するのが相当である。

(三) 入院諸雑費 二万〇、一〇〇円

同原告が六七日間の入院を余儀なくされたことは前記のとおりである。諸雑費として少くとも一日三〇〇円の割合による金員の支出を要することは経験則上明らかであるから、前記同原告の受傷の程度に鑑み、入院諸雑費として二万〇、一〇〇円の支出を要したものと認められる。

(四) 休業損害 三九万三、三三三円

〔証拠略〕を総合すると、同原告は被告美宝の下請の金属加工職人として月額一〇万円程度の収入(妻の寄与程度はとりたてていうほどのものといえない)を得ていたこと、同原告は本件事故に伴い、一一八日間の休業を余儀なくされたことが認められるから、その休業損害は三九万三、三三三円と算定され、これを越えた損害があつたと認めるに足りる証拠はない。

(五) 逸失利益 八二万四、六六六円

同原告が事故時四一才であつたことは当事者間に争いがない。

同原告の前記二の事実から明らかなとおり、同原告は右(四)のとおり休業を余儀なくされた期間のほか、事故による傷害の後遺症状のための労働収益能力が減少しているものと認められ、その程度は、同原告の職種、年令、後遺症状からみて、六三才に至る全労働期間を通じて五パーセントとみるのが相当である。

そうすると、同原告の右年収を基礎として昭和四七年一月二一日の現価を、前記同様の方式、利率により中間利息を控除して計算すると、八二万四、六六六円となる。

(六) 慰藉料 七〇万円

前記認定の本件事故の態様、傷害の部位程度、入・通院期間、後遺障害の部位程度等諸般の事情を考慮すると、同原告が本件事故により蒙つた精神的損害は、右金員をもつて慰藉されるべきが相当と認める。

(七) 損害の填補

同原告が本件事故による損害につき自賠責保険から一一六万九、八七三円、搭乗者保険から一八万五、〇〇〇円を各受領したこと、右金員が前記損害に充当されたことは当事者間に争いがないから、これは本件損害に充当さるべきである。

ところで、同原告がこの他、四万円を受領していることは当事者間に争いがないが、これが損害填補となるものとは認められないことは、原告二橋についての(七)と同様である。

(原告南後の関係分)

(一) 治療費 四二万四、三五〇円

〔証拠略〕によれば、原告南後は、本件受傷による治療費として右金員支出を要したこと、右金員を一時被告美宝が立替払していたがその後清算したことが認められる。補助参加人の填補済みの抗弁は採用しない。

(二) 付添費 二万五、二〇〇円

〔証拠略〕によれば、同原告は、入院中昭和四六年二月三日から同月二三日までの間家族の付添看護を受けたことが認められ、右認定に反する証拠はない。前記の同原告の症状に鑑み、右付添看護による損害は本件事故と相当因果関係にあるものであつて、これは一日当り一、二〇〇円と算定するのが相当である。

(三) 入院諸雑費 二万一、六〇〇円

同原告が七二日間の入院を余儀なくされたことは前記のとおりである。諸雑費として少くとも一日三〇〇円の割合による金員の支出を要することは経験則上明らかであるから、前記同原告の受傷の程度に鑑み、入院諸雑費として二万一、六〇〇円の支出を要したものと認められる。

(四) 休業損害 一五万六、三〇六円

原告南後が被告美宝の従業員であることは当事者間に争いがなく、〔証拠略〕によれば、同原告は被告美宝から月額六万〇、一〇〇円(一日につき二、〇〇三円)の収入を得ていたこと、同原告は本件事故に伴い、少くとも一〇二日間を下回らない期間の休業を余儀なくされたことが認められるから、その休業損害は二〇万四、三〇六円と算定されるところ、同原告が被告美宝から四万八、〇〇〇円の支払いを受けたことはその自認するところであるのでこれを控除すると、残額は一五万六、三〇六円である。

(五) 慰藉料 三〇万円

前記認定の本件事故の態様、傷害の部位程度、入・通院期間等諸般の事情を考慮すると、同原告か本件事故により蒙つた精神的損害は、右金員をもつて慰藉されるべきが相当と認める。

(六) 損害の填補

同原告が本件事故による損害につき自賠責保険から六二万四、九五四円、搭乗者保険から七万二、〇〇〇円を各受領したこと右金員が前記損害に充当されたことは当事者間に争いがないから、これは本件損害に充当される。

ところで、同原告がこの他、四万円を受領していることは当事者間に争いがないが、これが損害の填補となるものと認められないことは、原告二橋についての(七)と同様である。

四  弁護士費用

弁護の全趣旨によれば、請求原因弁護士費用の欄記載の事実を認めることができ、これと本件事案の内容、審理の経緯、認容額等を考慮すると、前記金員のうち原告らが被告美宝に対し、事故による損害として賠償を求めうる弁護士費用の額は、原告徳子は三八万円、同政枝は七三万五〇〇〇円、同二橋は七万四〇〇〇円、同高橋は九万一〇〇〇円、同南後は二万三、〇〇〇円が各相当である。

五  好意同乗による減額について

〔証拠略〕によれば、本件事故は被告美宝の従業員一一、二名のほぼ全員と当時同被告のいわゆる下職をしていた原告高橋を加えての二月のボーリング大会終了後、同被告所有の乙車に前記被告者六名が同乗して帰途に際し発生したこと、右ボーリング大会は、以前は右従業員らが適宜ボーリングに行つていたのを昭和四五年五月頃から、従業員同志の親睦のためとして月一回開催するようになり、その一環として実施されたもので就業時間前の早期に行なわれたこと、右大会は右被告主催によるものではないが、当時同被告の支配人(工場責任者)である訴外見神が同大会の賞品代を支出していたが、ゲーム代、交通費は各自負担であること、事故当日は右見神も参加し、当時乙車を管理していた同人が従業員のボーリング大会に被告美宝の自動車を使用するのもおかしくないとの判断の下に、これまでの大会同様に右被告の工場から徒歩で三〇分以内のところにあるボーリング場までの往復に乙車を利用したこと、従業員の大部分は右工場の二階の独身寮や地つづきの宿舎に居住し、乙車は右工場に置かれていたこと、乙車の定員が六名であるため、乗車出来ない人は徒歩か他の交通機関を利用し、乙車を二往復させることはなかつたこと、事故当日乙車に往復乗車したのは運転手の奈良本文雄のほかに千田悟、柳原定司郎、原告二橋、同南後であるが、同人らもたまたま乗車したにすぎず、原告高橋は大会終了後タクシーを待つていたところを偶々通りかかつた乙車に運転者らから誘われるまま乗り込んだにすぎないことが認められ、乙車の右ボーリング場から右工場までの通行や被告者らの右同乗につき、被告美宝とかかわりない右被害者らの都合は重視されるべきものがないから、右事情が賠償額を減額すべき事由に当らない。他に賠償額を減額するのを相当とする事由は認められない。

六  結び

以上の次第であるから、原告らは被告美宝に対し損害賠償として、原告洋子、同俊一において各九六万四、〇七二円、原告徳子において二二九万四、〇七二円、原告由美、同小百合において各二二一万九、一四五円、原告政枝において三六五万四、一四五円、原告二橋において八一万四、九五七円、原告高橋において一〇〇万三、五二六円、原告南後において二五万三、五〇二円及び原告洋子、同俊一、同由美、同小百合につき前記各金員、原告徳子、同政枝、同二橋、同高橋、同南後においては前記各金額のうち弁護士費用を各控除した各金員(原告徳子につき一九一万四、〇七二円、原告政枝につき二九一万九、一四五円、原告二橋につき七四万〇、九五七円、原告高橋につき九一万二、五二六円、原告南後につき二三万〇、五〇二円に対する訴状送達の日の翌日であることが記録上明らかな昭和四十七年一月二二日以降各支払済みに至るまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求めることができる。

第三結論

以上に述べたとおり、原告らの被告富田に対する請求、原告洋子、同俊一、同徳子、同南後の被告美宝に対する請求は、いずれも認容すべきであり、原告由美、同小百合、同政枝、同二橋、同高橋の被告美宝に対する請求は右限度において理由があるのでこれを認容し、その余を棄却すべきである。そこで訴訟費用の負担につき民訴法八九条、九二条ないし九四条を、仮執行の宣言につき同法一九六条をそれぞれ適用し、主文のとおり判決する。

(裁判官 高山晨 田中康久 玉城征駟郎)

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